映画「山桜」パンフ

江戸時代後期、北の小国、庄内の海坂藩で、野江は不幸な結婚生活を耐えていた。最初の結婚が夫の急死により幕を閉じ、1年前に磯村の家に再嫁した、23歳の野江。娘が婚家で辛い思いをしていることに心を痛めながらも、耐え抜けばいつか事態は好転すると励ます母。母の心にも野江の心にも、若くして亡くなった野江の叔母の孤独な一生がかすめるからこそ、離縁の考えは払いのけるしかないのだ。良妻賢母のかがみのような母親の厳しさと優しさ。薄幸に思えた亡き叔母の一生に垣間見る幸福。そして、のちに出会う弥一郎の母の、海より深い寛容な心と笑顔。人生の回り道で戸惑う野江を取り巻く3人の女性は、それぞれに温かく彼女を包み込み、行く手の道しるべになっていく...。

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〈ストーリー〉
江戸後期。吟味役120石・浦井家の長女・野江は、最初の夫には病で先立たれ、勧められるままに磯村家に嫁いだが、自分が育った浦井の家とはまるで世界が違っていた。武士でありながら蓄財に執着する夫と舅、野江を「出戻りの嫁」と蔑む姑。しかし2度の失敗は許されない。そう心に言い聞かせ、野江は嫁として懸命に耐え続けていた...。

叔母の墓参りの帰り、山道で薄紅色の花をいっぱいに付けた1本の山桜に見とれる野江。その美しさに思わず手を伸ばすが、枝は高くて花には届かない。すると突然、男の声が響いた。
「手折ってしんぜよう」
折った枝を差し出すそのお方は、手塚弥一郎と名乗った。野江はその名に驚く。それは彼女が磯村に嫁ぐ前、縁談を申し込まれた相手だった。密かに見初めてくれていたとの話だったが、母一人子一人の家と聞き、会うこともなく縁談はなくなってしまったのだ。
弥一郎は静かに口を開く。「今は、お幸せでござろうな」
思いがけない言葉に戸惑う野江。今の境遇を押し隠し、ただ「...はい」と答える。「さようか。案じておったが、それは何より」と微笑み、弥一郎は去っていった。山桜に引き寄せられたかのような、ただ1度きりの偶然の出逢い。どこかで、自分のことをずっと気遣ってくれている人がいると思うと、野江の胸の中にぬくもりが広がった。そしてそんな思いに励まされるように、野江は磯村家に尽くすのだった...。

手塚弥一郎が、城中で藩の重臣、諏訪平右衛門に斬りかかったのは、それから半年後のことだった。豪農と手を組んで農民を虐げ、私腹をこやす諏訪に対し、これまで藩内に声を上げる者はいなかった。そんな中、弥一郎は我が身を犠牲にして刃を振るったのだ。
帰宅した夫からそれを聞き、愕然とする野江。しかし、夫は弥一郎の所業を軽蔑し、「切腹は必至」と笑い飛ばすのだ。野江は思わず手にした夫の羽織を打ち捨てた。そのことでついに野江は、磯村家から離縁を言い渡されてしまうのだった...。

弥一郎は即刻切腹の沙汰が下されると思われたが、擁護する声も強く、藩主が江戸から帰国する春まで裁断を待つことになった。雪に閉ざされた長く厳しい海坂の冬。野江は獄中の弥一郎の身を案じ、ひたすら祈り続けた。

やがて海坂に穏やかな春が訪れた。藩主の帰国まであとひと月となったある日、野江は1年ぶりにあの山桜の下に立っていた。そして花をいっぱいに付けた枝を手に訪れた先は、手塚の家だった。
出迎えたのは、ただ1人で息子の帰りを待ち続ける弥一郎の母・志津。彼女から予想もしなかった言葉が野江を包み込み、その心を溶かす。それは野江の新しい季節の始まりだった...。

製作/2008年
公開/2008年4月20日 日本映画 99分

監督/篠 原 哲 雄
原作/藤 沢 周 平『山桜』
脚本/飯 田 健三郎
   長谷川 康 夫

出演/田 中 麗 奈
    :磯村 野江(浦井七左衛門の娘)
   東 山 紀 之
    :手塚弥一郎/海坂藩家臣
   篠 田 三 郎
    :浦井七左衛門(野江の父)/海坂藩家臣
   壇   ふ み
    :浦井 瑞江(野江の母)
   富 司 純 子
    :手塚 志津(弥一郎の母)
   北 条 隆 博
    :浦井新之助(野江の弟)
   南 沢 奈 央
    :浦井 勢津(野江の妹)
   高 橋 長 英
    :磯村左次衛門(野江の舅)/海坂藩家臣
   永 島 瑛 子
    :磯村 富代(左次衛門の妻/野江の姑)
   村 井 国 夫
    :諏訪平右衛門/海坂藩重臣

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