映画「小川の辺〈おがわのほとり〉」パンフ

数多くの藤沢周平作品の中で、ひときわ名作との声が高く、その映像化が切望されていたのが「小川の辺」です。なぜならそこに、過酷な運命に見舞われながらも、その運命に静かに、そしてしなやかに立ち向かう主人公たちの姿が真摯に描かれているからです。
海坂藩士・戌井〈いぬい〉朔之助〈さくのすけ〉、その妹・田鶴〈たず〉、戌井家に仕える若党・新蔵。ひとつ屋根の下で兄弟のように育った三人。過酷な運命は、彼らを海坂から遥か遠い、下総の小川の辺へと導いていく。無垢だった絆が切り裂かれようとする時、三人が選んだ道とは...。
物語は、藤沢周平が山形県庄内地方をイメージし、多くの作品の舞台となった海坂藩から始まりますが、そこから江戸に向かう旅の道のりが大半を占め、ロードムービーとしての要素に溢れています。

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〈ストーリー〉
海坂藩士・戌井〈いぬい〉朔之助は、脱藩した元藩士・佐久間森衛〈もりえ〉を討てとの藩命を受ける。その卓越した剣の腕を見込まれてのことだった。しかし、佐久間は、朔之助の妹・田鶴〈たず〉の夫であり、剣の腕を認め合った友でもあった。佐久間の脱藩は、藩主の行ってきたずさんな農政改革を真っ向から批判する上申書を提出したために、藩主の不興を買った結果だった。謹慎中の佐久間に対し、さらに決定的な処断が下される前に夫婦で姿を消したのである。

兄妹で斬り合うことを恐れ、気をもむ母・以瀬に対し、父の忠左衛門は、主命ならばそれを拒むわけにはいかぬと、朔之助に静かに決断を迫る。妻・幾久は朔之助の身を案じながらも、気丈に旅の支度をする。
妹は武家の妻として、兄であっても刀を抜くだろう。そんな田鶴の勝気な性格を知りつつも、家を守り、武士としての道理を守るため、朔之助は主命に従い佐久間を討つ旅の出立を決意する。
旅立ちの前夜、戌井家に仕える若党の新蔵が、供を申し出る。今は、朔之助のことを若旦那様と呼び、主従関係を越えようとしない新蔵だったが、幼い頃から、ひとつ屋根の下で、兄弟同然に育った仲である。田鶴の嫁ぐ前日、新蔵は、ただ一度、田鶴と心を通わせたことがあり、身分の違いの愛を、田鶴に対し密かに抱き続けているのだった...。

道中、朔之助は、18年前のことを思い出していた。青空が広がる夏の日、まだ子供だった朔之助と田鶴、新蔵は小川で遊んでいた。すると上流で鉄砲水が発生した音を朔之助は聞く。きかん気の田鶴は、一人平然と中州で遊び続ける。朔之助は無理矢理、田鶴を岸に引き戻そうとするが言うことを聞かない。その時、田鶴のいる中州へ新蔵が向かった。あれほど意地を張っていた田鶴が、新蔵の姿をみて、ふらりと立ち上がった。田鶴をしっかり抱きしめ、胸まである水の中、岸に戻ってくる二人の姿を、朔之助はじっと見つめていた...。

江戸の先、行徳の地に佐久間と田鶴の隠れ家は見つかった。それは、ちょうど18年前のあの日のような、小川の辺にあったのだ...。

製作/2011年
公開/2011年7月2日 日本映画 103分

監督/篠 原 哲 雄
原作/藤 沢 周 平『海坂藩大全』『闇の穴』
脚本/長谷川 康 夫
   飯 田 健三郎

出演/東 山 紀 之(少年隊)
    :戌井〈いぬい〉朔之助/海坂藩士
   菊 地 凛 子
    :佐久間田鶴〈たず〉(朔之助の妹/佐久間の妻)
   勝 地   涼
    :新蔵(戌井家の奉公人)
   片 岡 愛之助
    :佐久間森衛〈もりえ〉/海坂藩士
   尾 野 真千子
    :戌井 幾久(朔之助の妻)
   松 原 智恵子
    :戌井 以瀬(朔之助の母)
   藤   竜 也
    :戌井忠左衛門(朔之助の父)
   笹 野 高 史
    :助川権之丞/海坂藩月番家老
   西 岡 徳 馬
    :鹿沢 堯伯/海坂藩主家侍医

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『映画パンフ・プログラム・チラシ大辞典』
http://www7a.biglobe.ne.jp/~jidai2005/

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