映画「トガニ/幼き瞳の告発」パンフ

こんなことが起きていたなんて、僕はどうして今まで知らなかったんだろう。そんな自分に憤りを感じた...。(by. コン・ユ)
原作は本国のポータルサイト「Daum」で半年間のオンライン連載を経て、2009年単行本出版にこぎ着けた、人気作家コン・ジヨンの小説「トガニ」。既にネットユーザーの反響は大きかったが、小説刊行後の世論の反応は凄まじいものがあった。誰もがここに描いてある事柄が「実話」であるという事実に驚愕し、戦慄し、そして怒りを爆発させたからだ。読者の怒りは事件後ものうのうと教職についている加害者たち及び、彼らを守っている法律に向く。そしてコン・ユというスター俳優が自ら出演を熱望した本作は、公開されるや460万人以上を動員。国民の燃え上がる怒りは政府をも動かし、ついには「トガニ法」という新たな法律を生み、問題を起こした学校を廃校に追い込むことになる...。

『トガニとは?』
日本語に直訳すると「坩堝(るつぼ)」の意である。「興奮のるつぼと化す」「人種のるつぼ」など、日本では日常的に使われる単語でもあるが、本来の意味は高温処理をおこなう耐熱式の容器。出口のない密閉した空間で、ジリジリと焼かれていく想像を超えた恐怖と痛み...。本作の「トガニ=坩堝」は控えめに言っても、地獄そのものである。

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〈ストーリー〉
見通しの悪い濃い霧の中、1人車を走らせる男、カン・イノ。恩師からの紹介で、霧の街として有名な郊外の街「ムジン(霧津)」にある聴覚障害者学校「慈愛学園」で、美術教師の職を得たイノは、ソウルで暮らす母に愛娘・ソリを託し、1人新天地で働くことを決めたのだ。だが学園に向かう途中、視界を遮る霧のせいで野性の鹿をはねて車を傷つけてしまう。やむなく訪れた修理工場は、霧のせいで大混雑。そこで明らかに酒の臭いがする若い女、ソ・ユジンに車をぶつけられたうえ、妙な因縁をつけられ困惑するイノ。だがユジンは人権センターの幹事で、すぐに無礼を謝罪。慈愛学園までイノを送っていくことを申し出るのだった...。

着任早々、イノは学園に漂う不穏な空気を感じ取る。一見人当たりがよく温和そうに見える校長だが、その目は決して笑っていない。そんな校長の双子の弟・行政室長に至っては、教職に就くための代償として平然と不正な金を要求してくる始末。そして何より生徒たちのおびえたような暗い表情に、違和感を感じるのだった。 ある夜遅く学校から帰宅しようとしたイノは、学内のトイレの場所から子供の苦しげな悲鳴を聞く。慌てて様子を見に行くと、なぜか学園専属の警備員が押しとどめる。「ここの子は、退屈すると声をあげて騒ぐんです...」。

数日後、イノは職員室で同僚のパク教師が男子生徒・ミンスを袋叩きにしている現場に出くわす。寮を黙って抜け出した罰を与えているというパク教師の説明も、おおよそ納得がいくものではなかった。そしてついに決定的な現場を目撃する。異常なまでに食欲旺盛で知的障害のある女生徒・ユリに導かれるようにたどり着いた、ある部屋の前。そこでは女寮長のユン・ジャエが、女生徒・ヨンドゥを、回る洗濯槽の水の中に顔ごと押し込んでいたのだ。しつけをしているという彼女に、激昂するイノ。ぐったりしているヨンドゥをすぐさま入院させ、人権センター幹事のユジンに連絡を取る。だが病院でユジンがヨンドゥから筆談で聞き出した真実は、イノの想像を遥かに超えたおぞましいものだった。ヨンドゥによると自分を含めた複数の生徒が、校長をはじめとする数人の教師たちから日常的に性的虐待を受けているという。しかも地元の名士である校長は、警察さえも買収済みで、警察はこの事実を知りながら、見過ごしているのだった...。

怒りに震える2人は、マスコミの力を利用して真実を暴露することを決意する。TVカメラの前で、自らの体験を語る子供たちの痛々しい手話はイノの心をえぐる。だがそんな折、何も知らないイノの母が娘・ソリを連れてやって来る。室長に言われるがまま大金を用意し、校長の好きな蘭の鉢植えまで持参する母。「娘のことだけ考えろ」と口やかましく言い募る母に、イノは反発しながらも父親として心が揺れる。しかし再び目の前で激しい暴行を受けるミンスを目撃し、彼らを守り抜くことを決意する。ミンスは男性であるパク教師から暴行だけでなく、亡き弟と共に性的暴行も受けていたと明かすのだった。子供たちの衝撃的な告白がTVで放映されたことで、警察もようやく重い腰をあげる。遂に逮捕される校長たち。戦いの場は法廷へと移ってゆく。だが予想通り、イノは学園から解雇を言い渡されてしまう。落ち込むイノにユジンは「この件に関わったことを後悔している...?」とまっすぐな瞳で問うのだった。

裁判は難航を極めた。だがユジンの勇気ある行動で法廷に「手話通訳者」が付いたり、敏腕検事のおかげで学園側の用意した証人たちの嘘が次々に暴かれてゆくなど、明るい光も差し込む。長引く裁判の合間、海辺で語らうイノと子供たちの姿は本物の家族のような暖かさに包まれていた。だが現実は残酷だった。性的虐待という卑劣な事件でありながら、子供たちの親に公然と示談が持ちかけられたのだ。3人は孤児だったり、親に知的障害があったりと複雑な事情を抱える子ばかり。校長たちは初めからそういう子供に狙いをつけて、犯行を繰り返していたのだ。追いつめられたイノは、久々に恩師から食事の誘いを受ける。しかし懐かしい恩師の横には、なんと校長たちの担当弁護士の姿があった。大金をちらつかせながら、さらなる示談を持ちかける弁護士に絶望するイノ。そんな彼に「娘さんを大事にしないと」と、脅迫めいた言葉さえ投げかける弁護士だった。

再開される裁判。そこにイノの失職を知り、裁判所に怒鳴り込んでくる母の姿があった。だがイノはヨンドゥの手を握り、静かに言い放つ。 「今この手を放したら、ソリにとっていい父親になれる自信がない...」。

裁判は賢いヨンドゥの機転もあり、有利に進んだかに見えた。だがそんな中ミンスの祖母までもが示談に応じ、ミンスは証言台に立つこと自体が不可能になってしまう。死んだ弟のためにここまで必死に戦ってきたミンスは、絶望と悔しさのあまり号泣する。 しかし希望は残っていた。ヨンドゥの記憶から、イノとユジンは校長たちの蛮行のある決定的な証拠を入手する。校長たちの厳罰は確実に思えたのだが...。

製作/2011年
公開/2012年8月4日 韓国映画 125分

監督・脚本/ファン・ドンヒョク
原作/コン・ジヨン『トガニ 幼き瞳の告発』

出演/コン・ユ
    :カン・イノ/聴覚障害者学校「慈愛学園」美術教師
   チョン・ユミ
    :ソ・ユジン/ムジン人権センター幹事
   キム・ヒョンス
    :ヨンドゥ/聴覚障害者学校「慈愛学園」女子生徒・
                    聴覚を失った少女
   チョン・インソ
    :ユリ/聴覚障害者学校「慈愛学園」女子生徒・
                     知的障害児少女
   ペク・スンファン
    :ミンス/聴覚障害者学校「慈愛学園」男子生徒・
                       勇敢な少年
   キム・ジヨン
    :(イノの母)
   チャン・ガン
       :聴覚障害者学校「慈愛学園」校長
   (二役):(校長の双子の弟)
        聴覚障害者学校「慈愛学園」行政室長
   キム・ミンサン
    :パク・ボヒョン/聴覚障害者学校「慈愛学園」教師
   オム・ヒョソプ
    :チャン/警察刑事

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『映画パンフ・プログラム・チラシ大辞典』
http://www7a.biglobe.ne.jp/~jidai2005/

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